先生に囚われて
そう思った途端、さっきまで向けなかった雅先輩の方に顔が動いた。


「あのっ!違……っ」

言い訳をしようと動く口を力強い手で覆われ、続く言葉は少し冷たく大きな掌へと消えて行った。


「違わねぇだろ」



私の口に手を当て言葉を遮り、代わりにりぃ君の凛とした透き通るような声が降ってきた。

手を離され解放された私の口が弱々しく言葉を紡ぐ。


「だって、先生がっ……」

「いいんだよ」

「な、何もよくないよっ!」

「いいの」


私たちのやり取りを唖然として見ていた雅先輩に、りぃ君ははっきりと、疑う余地もないくらいにしっかりと告げた。




「俺はこいつが大切なんだよ。何よりもな」



隣に立つ背の高いりぃ君を仰ぎ見る。

りぃ君の視線はとても真剣に雅先輩に向いていた。



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