先生に囚われて
「……は?」

「……え?」

私の涙を拭っていたりぃ君の手が止まり、拭われていた私の涙も止まった。


「ヤバイ!なにこれやばすぎる!すごいかっこいい〜っ!!」

固まる私たちにはお構い無しに、1人はしゃぎ続ける雅先輩。


「サエちゃんっ!」

「ん?」


ヤバイを連呼していた雅先輩に急に名前を呼ばれて、りぃ君が微妙な返答をした。


「安心して!私、絶対言わない!誰にも言いませんからっ!」


目をキラキラと輝かせて雅先輩が熱い視線を送りながら、鼻息荒く捲くし立てる。


「あ、ああ……そうか、ありがとう」

「ううん!私、鳥肌たったの!サエちゃんのその想いの強さと覚悟にっ!」

勢いに押されて引き気味のりぃ君。

……雅先輩、意外に熱い人だったんだね。


「宮野さん」

「は、はい」


急に自分に矛先が向いて、驚きながら返事をする。

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