先生に囚われて
「いい加減、聞くに耐えねぇし声出そうとしたら、このバカが割り込んできたから様子を伺ってたんだよ」

そう言って私を見てから、意地悪そうに微笑んで頭の上に腕を置かれた。


「だってぇ……」

口を尖らせ不貞腐れると、なぜかりぃ君と雅先輩に盛大に笑われた。

え?え?
なんなのこの2人。



じめじめと暗い校舎裏には不釣り合いな、5月の爽やかな風の音と2人の笑い声が響き渡る。

いつの間にか授業終了を知らせるチャイムが鳴り、やけに機嫌のいい雅先輩に腕を引かれるようにして校舎へと戻って行った。


校舎に入る手前で後ろを振り返ると、

煙草を口に加えたりぃ君と目が合い、口角を軽く上げて手をヒラヒラと振ってくれた。


あれ、りぃ君もなんだか機嫌が良さそう。


りぃ君に手を振り返し、雅先輩に引きずられながらも目まぐるしい変化のあったこの1時間を思い返す。


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