先生に囚われて
高校生になってから、俺の周りの環境は劇的に変わった。
佐伯理一と、柏木那鶴この二人と出会ったから。
高校1年で同じクラスになり、まだ中学生の雰囲気を引きずるように垢抜けない服装や髪型の生徒が多いなか、この二人だけ早々と髪を明るく染めて制服を勝手に着崩していた。
もちろん、親のいない施設育ちの俺も似たような感じの出立で、クラスで俺たち三人だけ目立っていた。
この高校は偏差値もそこそこ高く、なんでこんなところに入学できたのかと周りの生徒は思っていると思う。
俺の理由はただ一つ。
施設に一番近く自転車で通学できるからだ。
そのために、中学のころから勉強はそれなりに頑張っていたし、内申点を上げるために部活にも力を注いだ。
「ねぇねぇ〜、斉藤くん」
金髪でヤンキーみたいな見た目の柏木が語尾をだらしなく伸ばしながら俺に話しかけてきた。