先生に囚われて
「なんだ?」

「バイク好きなの〜?」


俺の手元にある雑誌を指差しながら首を傾げる。

後ろの席に座る佐伯のとこまで来て、俺の机が目に入ったらしい。


「そうなのか?」

席が前後の関係でもまだあまり話したことのなかった佐伯もこの話題には興味があったらしく、会話に入ってきた。

佐伯は柏木とは違い髪色は染めているけどダークブラウンだし、スラックスは腰履きしていてだらしないけど、雰囲気は落ち着いていて高校生にしては色気のある端正な顔立ちだ。


その髪色はどことなく歌に似ていた。

歌の色は天然で、染めていないしもっと線の細いさらさらの柔らかい髪だけど。


いつもよりテンションも高く、佐伯の目が楽しそうに輝く。


「あ、お前らもか?俺この雑誌、中学のころから読んでんだ!高校に入ったらバイク欲しくてさ!」

「まじ〜!?俺らもめっちゃ好きなんだよ〜!」

「これ良くね?カワサキの。それかこっちのホンダのも良い」

「めっちゃわかるわ!俺もこれ狙ってんだよ!」


佐伯の指したバイクが俺の好みと同じで、楽しくなって声が大きくなる。
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