先生に囚われて
「ねえ〜、帰りに中古のバイク屋見に行かねぇ?俺の知り合いがやってる店なんだけど〜」

「いいのか!?柏木の知り合いが店やってるのか!」

「那鶴でいいぜ〜、俺も恭弥って呼ぶし」

「おぉ!」

「おい、那鶴。俺も行く」

「えぇ〜理一は女のとこだろ?」

那鶴がニヤニヤと理一を見ると、理一が不貞腐れた表情で答える。


「うるせえ。今日はそっち行く」

「女?彼女か?」


彼女に会う約束があったのか?
それならバイク屋はまた今度でも……。


「あ〜違う違う!りぃ君は彼女はいないけど女の子のお友達はたくさんいるんだぜ〜」

な!と座る理一に那鶴が肩にしなだれ掛かるように張り付く。

それをうざったそうに片手で引き剥がしながら、理一を見てる俺と目が合った。



「彼女とか作るとめんどくせぇじゃん?」


何でもないことのように、理一は「ヤルだけなら付き合わなくてもできる」とその端正な顔でとんでもない事を言っている。

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