先生に囚われて
「はっ、はぁ!?や、やるって!おまっ!」

真っ赤になる俺を理一は驚いたように目を軽く見開いた。


「……お前、純粋だな」

「いいねぇ!恭弥!俺は理一の節操ナシな下半身よりお前の純情な下半身が好きよ〜」


二人は馬鹿にはしてないようだったけど、完全に俺をからかっていた。


「恭弥は彼女いねえの?」

理一が頬杖をつきながら俺に視線よこす。


「いねえよ!……俺は、高校でるまで作る気はないんだよ」


高校を卒業するまでは、あおぞら苑にいる。

あそこのみんなが家族で兄弟みたいに大切だ。
手のかかる小さいのがいるから、彼女なんてつくっても相手をしてやれる時間なんかほとんど取れない。


ぶっちゃけ、まだ見ぬ彼女よりも俺は歌の方がずっと大切だった。


「高校卒業まで?なんでだ?」


今度は理一と那鶴の不思議そうな視線が俺に集まる。

中学ではみんな知ってることだったし、まぁ別に隠す気もないけど。

だけど、まだ入学したばかりのこの時期、クラスの誰も知らなかった。高校では仲良くなったやつにだけ言えばいいと思っていて、

だから。



「俺、児童養護施設にいるんだよ。親いねえから」


こいつらはきっとこれから長く付き合っていくことになりそうだと何となく思った。

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