先生に囚われて
春、出会いの季節



「ただいまー」


あおぞら苑の建物は広めの平屋の一軒家だ。

門から入ると園庭が広がっていて、その奥に建物がある。

玄関を入って、中に聞こえるように大きく声を出すと、

「お帰りー!」

タタッと軽い足音とともに可愛い声が聞こえてきた。


「歌、ただいま」

いつも通りの歌の出迎えを待っていると、歌が姿を見せた瞬間に足を止めた。



「お客さん?」


俺の後ろに立つ二人を見て首を傾げる。

その反応があまりにも可愛くて、一人が奇声を発した。


「ぎゃー!!ちょっとちょっと恭ちゃんよ〜!何この美少女は!!」

「那鶴うるせえよ」


正反対の反応の二人に苦笑しながら、歌を手招きで呼ぶ。

歌は黒目がちな大きな目で不思議そうに理一と那鶴を見ていた。


「俺の友だち。高校でクラスが同じで仲良くなった」

そう言って後ろの二人に視線を送る。

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