先生に囚われて
リビングの3人掛けのソファにりぃ君が座ったので、隣に座りながらプリントを見せる。


「私もね、今日テスト返ってきた!」

「おっ。すげえじゃん、95点か」

「うん!りぃ君のおかげだよ、ありがとう!」


算数のテストのプリントを見ながらりぃ君が私の頭に手を伸ばす。


「歌が頑張ったからだろ。お前はほんとに偉いな」


目を細めて優しく頭を撫でてくれた。

りぃ君に算数の勉強を教えてもらうのは、初めて会った2年生のときからもう1年間も続いていた。



「で?どこ間違って5点減点なんだ?」

「ゔっ……」

りぃ君は出来たら褒めてくれるけど、間違いをそのままにすることを許してはくれない。


「ここ、小数点の引き算のとこ」

「ああ。答えに小数点つけ忘れたのか」

「解けた!って思うと確認忘れちゃうの……」


りぃ君は、恭弥、なっちゃんの三人の中で一番勉強ができて、教えるのも上手だった。

なので恭弥とやってた勉強もここ一年は、りぃ君とのほうが多くなったと思う。
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