先生に囚われて
「りぃ、くんっ」


いつもと変わらないりぃ君の顔に、緊張していた心が解けて顔の筋肉が緩んだ。

涙がどんどん出てきてようやく見ることが出来たりぃ君の顔が滲んでぼやける。


「なに泣いてんだよ……歌、来い」



煙草を消すと、空いた右手を私に向かって差し出す。

それに吸い込まれるように足が動いて、その腕にすっぽりと収まる。


「ふっ……、ふぇ、りぃ君〜」

「お前、離れてる間に泣き虫になったんじゃねえか」


肩から頭にかけて包むよう回されたりぃ君の腕。
頭の上にある掌がとんとんと規則正しく優しく撫でてくれる。

再会してからあまり以前のことを話さなかったりぃ君が、昔の私の話をする。


「りぃ君が……っ、私を泣かせるんだよっ」


こんな捻くれたことも安心して言える相手。

無条件で甘えられる存在。


「はっ、生意気」


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