先生に囚われて
煙草の匂いのなかにわずかに感じるりぃ君の香水の匂い。

先生として学校にいる間は香水をつけてないけど、服や持ち物に染み付いたシトラスの香り。


りぃ君にはきっとオリエンタル系の方が似合うんだけろうけど、私はこっちの方が好きだった。

小さい頃から嗅ぎ慣れた大好きな人の大好きな香り。



「……好き」

「え?」

「私、この匂い……大好き」



伝えたい気持ちを紛れ込ませる。

いつになったら、私はりぃ君に気持ちを伝えられるんだろう。


先生と生徒。


幼なじみだった私たちの関係に、新しい関係性が増えてしまった。

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