先生に囚われて
いつもの流れで、奥の部屋に真っ直ぐ向かい恭弥の写真の前に座る。


3年間一度も見ていなかった顔は、あんなに誰よりも覚えていたはずなのに徐々にぼやけていった。

それが辛くて、本当に嫌で……だけど地元に帰ると恭弥との思い出に溢れすぎていて、あの場所にいることが苦しかった。

だから、地元を離れて知り合いの誰もいない土地に高校入学とともに一人できた。

なのに、りぃ君が現れて、なっちゃんとも再会して……こうしてまた、恭弥の顔を見ることができるようになった。



……恭弥、あのね、胡桃と雅先輩に私の小さい頃の話をしたよ。

恭弥のこともたくさん話たの。

いっぱい遊んでもらって、ずっと一緒にいたことを二人に聞いてもらったよ。

あおぞら苑のことも宮野家に行ったことも全部。

それとね、
りぃ君とのことも……。


恭弥、聞いてほしいことがあるの。


私ね……、




私、りぃ君のことが……好きなんだ。


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