先生に囚われて
「何してんだよ、お前も来い」


左手はスウェットのポケットに入っていて、右手をこっちに向かって軽く伸ばし猫でも呼ぶようにクイと指先を動かして呼んでくる。


「……はぁい」

一緒のベッドで寝るのが恥ずかしくて、出来ればりぃ君が寝てから寝室に行こうと思っていたのを見事に見透かされていた。



7月に入ってから暑い日が多く、暑いのが苦手なりぃ君がエアコンをつけて寝るのでこの部屋はかなり涼しい。

ダブルベッドの半分が空いているから、りぃ君の横に放置させてるタオルケットをかけて横に寝転ぶ。

すると仰向けで目を閉じていたりぃ君が私の方に身体を向け、タオルケットに包まれる私ごと腕を回して引き寄せてきた。


「わっ」

「……細えな」

腰のあたりを触りながら半分夢の中なのかぼんやりと喋るりぃ君に、心がモヤッと不快感を覚えた。


「誰と比べてるの」


小さく、聞こえるか聞こえないかくらいの微かな声で不満を伝える。

聞こえないなら別にいい。
寝ているかもしれないし。

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