先生に囚われて
そう思ったのに、りぃ君には聞こえたみたいで閉じていた目蓋がパチリと開いた。


「……いろんな人と、こうやって一緒に寝るの……?」


タオルケットを鼻まで被り、りぃ君の腕の中なのに身体を少し離して距離を作る。


「前に、ここで会った女の人とも……?」


答えを聞くのが怖い。

自然と身を守るように自分の両腕で自分の身体を抱きしめるようにしていた。

知るのが怖いくせに、こうして聞くことをやめられない。



「あの人は……彼女?」



初めてこの部屋に来たときに会った女の人の姿が目に浮かぶ。

綺麗な人だった。
少し気の強そうなツンとした雰囲気と目が印象的で今でもなんとなく覚えている。

このマンションはオートロックだから、玄関先まで来ていたということは解除の番号を知っているということだ。

……それだけ何度もここに来ていて、りぃ君が教えたということ。

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