先生に囚われて
「お前には理解できないと思うけど……」


りぃ君が言い淀んだり言葉に詰まるのは珍しい。

少し間を開けて、自分自身に呆れているような口調で話し出す。



「俺は、気持ちがなくてもヤレる」


それは、たしかに私には1ミリも理解できなかった。

……好きじゃなくても、そういう行為ができるってこと?


「昔から、それこそお前と会う前くらいからずっと……そうして女と付き合ってきた」


さっきよりも私の鼓動が少し落ち着いてきたのは、たぶん。そのことを知っていたから。

そう。
私は何となくわかっていた。

幼いころから、ずっとりぃ君を見てきたから。


「誰でもいいわけじゃねえけど、誘われて気に入れば何人とでも寝た」


小学生のときから、りぃ君の隣にはいろんな女の人がいることをよく見かけていた。

苑に遊びに来てくれても、女の人の呼び出しで帰ってしまうことだって何度もあった。

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