先生に囚われて
「お前っ……」

りぃ君が一瞬言葉につまったその隙に鞄を手にし、玄関に向かって足を進める。


足にローファーをひっかけて、ドアノブを掴んだところで反対の腕を強く引かれた。



「そんな状態で帰すわけねえだろ」

その声にかぶさるように機械的な音が部屋中に響き渡った。


ピンポン、ピンポン、ピンポン――……



私は鳴り続けるその音にビクッと反応したけど、この人にはそんなものは通用しないらしい。


眉一つ動かさず、ただ私だけをその瞳に写している。



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