先生に囚われて
「理一!やっぱりいたっ!!」


前に倒れそうになる私の横を、妖艶な香りを纏った人が通り過ぎる。



りぃ君に腕を捕まれていたので転倒は免れたけど、片腕に全体重がかかって腕が痛い。

眉をしかめながら、後ろを振り向くと、


りぃ君の首に腕を回して抱きつく女の人が目に入った。

――チリ

小さなトゲが刺さった気がする。



「なんでっ?なんで会ってくれないのっ!」


りぃ君の胸に顔を埋めて縋るその人を、違う世界の事のようにぼんやりと見つめていた。


……すごく綺麗な人だな。


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