先生に囚われて
必死に訴えるその人に見向きもしないで、りぃ君の視線はやっぱり私へと続いていた。

居たたまれなくて2人から視線を移そうとした時、ふいに女の人がこちらを見た。


「……何?この子」

冷たい声。

さっきまでとはまるで別人。


「まさかこの子がいるから、私とは会わないって言ったんじゃないわよね?」


まさか。

そんなはずない。


「あなた、誰?」


尚も突き刺さる私への威嚇と嫉妬の視線。

――チリ


りぃ君は何も言わない。

女の人に抱きつかれたまま、
まるで、私の出方を待っているようだ。



「ねえ、聞いてる?高校生がこんな所まで何の用?」


ああ、さっきからみぞおちの辺りが妙に痛い。


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