先生に囚われて
私が出会ってからのりぃ君は、いかにも遊んでそうでヤンチャな雰囲気だったけど煙草は吸っていなかった。


りぃ君が煙草を吸うのを見るようになったのは、高校で先生と生徒として再会してからだった。


「……りぃ君、なんで煙草吸ってたの?」

「そういやお前、歌と会ってから煙草やめたのに何年か前からまた吸い始めたよなぁ〜」

「えっ、そうなの?」


……やっぱり高校生のときにすでに吸ってたのか。
でも、一度やめて、また吸っていたの?


「願掛け」


願掛け?何を願っての……。


「恭弥から歌を奪えたらやめようと思ってた」


元々煙草の味が好きで吸ってたけど、幼い歌がいる前で吸いたくなくて一度やめた。と言うりぃ君が私に視線を向けた。


「だけど、恭弥が死んだとき、歌の心は永遠にあいつに奪われた気がして……うぜえって苛立ちでまた吸い始めたんだよ」


まさかりぃ君がそんなことを思っていたなんて夢にも思わなかった。
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