先生に囚われて
「お邪魔しまーす」

なっちゃんが慣れたように家に入って行くのに続いて、私たちも中に上がる。


「おいじじぃ、てめえ」

りぃ君がリビングの扉を開けるやいなや、ソファで寛ぐおじさんに食ってかかった。


「なんだよー、理一。何そんな怒って……」

相変わらずもうすぐ50歳になるとはとても見えない若くてかっこいいおじさんが、私の顔を見とめるとパッと表情を輝かせた。


「う、歌ちゃーん!!」

「おじさんだぁ!久しぶり〜」

「もう〜、困った子だな、3年もいなくなって!しかも今こっちに帰って来てるならなんで俺に一言」

「おい、歌に触んなくそじじぃ」

私に抱きつくおじさんをりぃ君が無理矢理引き剥がす。


「はははっ!佐伯さん、楽しそうだなぁ」


豪快に笑うもう渋い大人の男性の声に、ここで初めてこのリビングにおじさん以外の人がいることに気づいた。

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