先生に囚われて
「クリスマスの日に理一くんが娘とデートをしてくれたと聞いて、親バカなもので私も喜んでしまったんだよ」


クリスマス。りぃ君と、デート。


「ええぇぇっ!」

突如大声を出した私にみんなの視線が一斉に集まったけど、私の視線はりぃ君にだけ向いていた。


「……りぃ君、あの日一緒にいたのって……」

「ああ、この人」

「やっぱり、そうだったんだ」


恭弥とはじめて二人で過ごしたあのクリスマスの日。
コンビニの外で偶然見かけたりぃ君と一緒に歩いていた女性は……綾子さんだったんだ。


「お前、自分は恭弥といたくせに俺見て泣くからマジで苛ついてたとき」

「えぇ……、やっぱり私のこと気づいてたんだ」

「当たり前だろ」

「しかも泣いたとこまで見られてたなんて……」


今さら知る事実にもう頭がついていかず、混乱するばっかりの私に、りぃ君が腕を伸ばして強い力で引き寄せられた。
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