先生に囚われて
春、結びの季節
りぃ君は結局、教師の仕事も楽しいと、予定より1年長く先生として働くことにした。

産休だった前任の先生もまだまだ小さい我が子と離れるのは寂しいと、さらに育休を1年取得し仕事をお休みしたからだ。



そして、今日は。

私の卒業式の日であり、りぃ君の退職日でもある。


高校3年生の1年間は、りぃ君がまさかのうちのクラスの副担任になって、ますます学校で関係がバレないようにするのが大変だった。

何度、学校で"りぃ君"と呼びそうになったかわかんないよ。

しかも理事長兼校長先生が私たちを面白がってやったらしく、りぃ君のおじさんが楽しそうに教えてくれたんだから困った大人たちだ。



「サエちゃーん!今日で卒業なんてさみしいよー!!」

「サエちゃんに会えなくなるなんてイヤだぁ〜」

「なあなあ、サエちゃんも今日で仕事辞めるってほんとなのか?」


卒業式が終わって教室で最後のホームルームが終わろうしていたとき、りぃ君の挨拶のタイミングでみんなが口々に声をかける。
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