先生に囚われて
悲しい、と思うのは筋違いだよね。
「先生、家まで押し掛けてごめんなさい。もう二度とこんな事しません」
視線が靴のつま先から上げられない。
「また明日、学校で……。さようなら」
頭を少し下げ、りぃ君のマンションの廊下を歩く。
もう、二度とここには来れないけど、これで良かったんだ。
もう見ることも出来ないと思ってた恭弥に会えたし。
今日、ここに来れたことに後悔はない。満足だ。
明日からは、りぃ君とは他人。
ただの先生と生徒なんだ。
遠ざかるりぃ君の部屋を背に急ぎ足を動かしていると、後ろからあの女の人の声が聞こえてきた。
「理一?いつまでここにいるのよ。早く中に入りましょ」
――チリ
痛むみぞおちに手を当て、頬をたどり落ちる温かな水に気づかないふりをして歩き続ける。
エレベーターに乗る瞬間、
ガンッ
と何かを蹴るような衝撃音を耳にしたけど、私は一度も振り返らなかった。
「先生、家まで押し掛けてごめんなさい。もう二度とこんな事しません」
視線が靴のつま先から上げられない。
「また明日、学校で……。さようなら」
頭を少し下げ、りぃ君のマンションの廊下を歩く。
もう、二度とここには来れないけど、これで良かったんだ。
もう見ることも出来ないと思ってた恭弥に会えたし。
今日、ここに来れたことに後悔はない。満足だ。
明日からは、りぃ君とは他人。
ただの先生と生徒なんだ。
遠ざかるりぃ君の部屋を背に急ぎ足を動かしていると、後ろからあの女の人の声が聞こえてきた。
「理一?いつまでここにいるのよ。早く中に入りましょ」
――チリ
痛むみぞおちに手を当て、頬をたどり落ちる温かな水に気づかないふりをして歩き続ける。
エレベーターに乗る瞬間、
ガンッ
と何かを蹴るような衝撃音を耳にしたけど、私は一度も振り返らなかった。