先生に囚われて
「近づくな、ってことですか?」


自分たちの言わんとすることを私が理解している事に、
彼女たちは不満を抱くことはあっても、満足なんかするはずなかった。

失敗した。


目の前の顔がみるみる般若へと変わっていくのを、私はただ眺めていた。



「なんだ、分かってんじゃん」

さっきよりもさらに好戦的な物言い。


「あんたさー、なんか勘違いしてるみたいだけど、男がみんな自分に気があるとか思わないでくれる?」


………は?

気がある?男が?みんな?

――私に?


馬鹿馬鹿しい。
何を言いだすかと思えば、呆れてモノが言えない。

自分たちこそどんな勘違いの元に、そんな笑い話を考えつくんだろう。


これこそまさに、恋する乙女の被害妄想の為せる業?

あれ、加害妄想かな?



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