先生に囚われて
叫び声と共に訪れた強烈な痛みに、目がチカチカと光が飛んだ。思わず顔をしかめる。


「……っ!」

あれ、頬っぺたがジンジンする……。

そっと左手を自分の頬に当ててみると、少し湿っぽい。


頬から離した手に視線をやる。

あ、血だ。
僅かに出血していた。


それを見た瞬間、急激に左の頬に熱が集中していくのがわかった。

……痛ぁ!
な、殴られた。


しかも、殴られた時に先輩の盛大に飾りつけられた長い爪が、皮膚を傷つけていったらしい。


沸々と怒りが込み上げてきた。

それを必死に抑えていた私に、さらに追い打ちをかけるように続く言葉。


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