先生に囚われて
「あ?叶か。なんだ、どうかしたか?」

口籠もる俺に、サエちゃんが普通に問い掛ける。


「あ、いや〜。あのさ、人を探してて……」

チラチラと視線をたまに送る。

なんか、直視しちゃいけない感じがする。


「ふーん、わざわざこっちの校舎まで?」


俺がサエちゃんの後ろで立ち止まって動かないので、

「誰だよ。俺の知ってるやつか?」と言いながらサエちゃんが身体ごと振り返る。



それと同時にサエちゃんに抱えられている人物の姿が見える。


……やっぱり生徒かよ〜。

顔は見えないけど、うちの高校の制服を着た女の子だった。


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