先生に囚われて
伝わらない想いが胸の中でどんどん成長していって、既に限界だ。


「……苦しいっ、りぃ君……苦しいよぉ……っ」


止まらない涙と共に零れ落ちた言葉は、紛れもない本心。



………だけど、

りぃ君の顔は辛そうに歪んだ。



拒まれた想い。


その顔はさすがにショックが大きい。
分かってたけどやっぱり辛い。


「胸が、痛い……」


絡まる指と指に猛烈に募る、寂しさ。
だけど、同時にどうしようもないくらいに愛しくて……。


せめて抱き合っている間だけでも離れないようにと、繋いだ手に力を込める。

伝えられない気持ちをのせて。



「……歌、……忘れろよっ」


りぃ君の痛く切ない呟き。


この瞬間だけは、

世界に2人しかいなければいいのに、と本気で願った。


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