先生に囚われて
この間この部屋で出くわしたあの人も。

他にも本当に数多くの女の人が、りぃ君を知っているのかと思うと頭が沸騰しそうだった。


なんとか気持ちを落ち着かせるために、目を瞑って大きく深呼吸をする。

布団にも染み込んでいる、りぃ君の香水の香り。

教師のときはつけていないけど、それ以外ではよくつけているので、こうしてあちこちに移香がある。

大好きなこの匂いが私にも移ればいいのに……。

そんな思いが溢れてまた涙が込み上げてきた。



その時。
頭をくしゃくしゃと撫でられた。


「どうした、何で泣いてんだよ」

どこまでも優しく、どこまでも甘く、頭の上で声が響いた。

ペットボトルの水を持ち、上半身裸のりぃ君が寝室に入ってきたところだった。



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