先生に囚われて
ああ、この人はどうして……っ。

ずるい人。こんなに甘やかされたら、離れることなんて出来るわけない。

たとえあなたにとっては、沢山いる女の人の中の1人だったとしても。


「ううん、なんでもない。……ちょっと眠くて、あくびが出ただけだよ」


一番じゃなくていい。

唯一になれなくてもいいから、

どうか……傍にいさせて下さい。


「……そうか」

りぃ君は軽くため息を吐いてそう呟いてから、動かないままジッとしている私の頭を黙って撫でてくれた。

この時間がずっと続けばいいのに。

それが無理なら、この瞬間に時間が止まればいいのに。



< 76 / 282 >

この作品をシェア

pagetop