先生に囚われて
「那鶴からの電話には出るな、番号拒否れ」

「ええっ?なんで」

「あー、うるせえ。さっさと乗れ」


腕を離してから背中を軽く押され無理やりエレベーターに押し込まれて、いったん言葉を遮られたけど、納得できないので抗議の声を上げる。


「ねぇ、なんでよー?せっかく久しぶりに会えたのにぃ」

「………」

視線を逸らして無言を貫くりぃ君にしつこく食い下がる。


「りぃ君っ!」


りぃ君の腕を掴み、顔をこちらに向かせようと名前を呼んだ時。

はあ、と大きなため息を吐いてからついに諦めたのか振り向いた。


下から見上げるりぃ君の顔は少し眉間に皺がよっていて、面白くなさそうな声で、



「……邪魔されたくねえの」


と呟いた。

……え。

胸がキュンって鳴った。今、絶対音が鳴ったよ。



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