先生に囚われて
かああ、と顔に熱が集まるのを感じて慌て顔を背ける。

気持ちを封印しようと思った矢先にこれだ。
本当に勘弁してほしい。

いつの間にか1階に着いたらしく開いたエレベーターをそそくさと降りる。


りぃ君と車に乗り込み、2人だけの空間を意識してまた鼓動が早さを増す。

完全に夜になった街を見て、今さらながらある事に気づく。


「そういえば私、学校……」

りぃ君は私の言葉に反応して、ハンドル片手にこっちを見てから口を開く。


「ああ、今日早退させた」


そうだ、そうだった。
私はお昼休みが終わるころに校舎裏でりぃ君に助けてもらい、そのままりぃ君のお家に連れて行かれ……。

私を送ってくれたけど、りぃ君は勤務時間中じゃないか。


「え、それ……りぃ君、5限の授業……」



< 87 / 282 >

この作品をシェア

pagetop