先生に囚われて
自分へのどうしようもない苛立ちと吐き気が襲ってきそうなほどの後悔。

突然うつむいて黙ってしまった私を当然りぃ君は不思議がって声をかけてきた。


「おい、どうした?」

「………」


謝らなきゃ。そう思えば思うほど、喉が詰まって言葉がでない。

泣いたらいけない。

けど、気を少しでも緩めると声が震えてしまいそうだった。


「……歌?」

「………」

「……おい。こっち向け」


一向に口を開かない私に、りぃ君の声がトーンを落として迫るように降ってくる。


「歌、顔上げろ」


苛立ったような声に少し怯えて、肩が揺れてしまった。


すると、チッと舌打ちが聞こえてきて、ますますどうしたらいいのか分からなくなった。


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