先生に囚われて
「歌、明日からも普通にしてろ。叶と話すのも、一緒にいるのも、お前の好きなようにしていいんだ。他に遠慮するな」

「うん……っ」

振り返って顔を見たいけど、もう一度りぃ君の顔を見たらまた泣いてしまいそうだから必死に我慢した。

だけどあまりにも優しく温かい声が背中に届くから、やっぱり瞳に水分の膜が覆う。


「お前には、信頼できる友達がいるだろ?少しは頼ってやれ」

「……え?」

「携帯、ずっと鳴ってたぞ。心配してんじゃないか?松本」


松本。胡桃のことだ。

そっか、そうだった。私には胡桃がいる。胡桃には私がいるんだ。


「あと、まあ……あのバカもいるし。お前が困ってたら全力で助けてくれんだろ」

少し不満げな声が聞えてきて、かすかに笑ってしまった。

あのバカなんて言ってるけど、誰よりもなっちゃんのこと信頼してる、大切な友だちのくせに。


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