先生に囚われて
「笑ってんなよ」

と、りぃ君が呟いて私の手首を強く引いたから、バランスを崩してシートに逆戻りした。


驚いて固まっていたら、肩に腕が回ってきて身体をりぃ君の方に向けさせられた。


真剣な表情のりぃ君と目が合う。



「俺がいるだろ。頼れ」

「……りぃ君」

「お前のためなら何でもしてやる。だから……、1人で泣いたりすんなよ」

「……うんっ」


やっぱり泣いてしまったけど、これは悲しい涙じゃない。

私を包んでくれるこの愛しい温もりに対しての嬉しい涙なんだ。


それからしばらくじっと抱きしめられていたけど、りぃ君が私のブレザーのポケットに何かを突っ込んでから身体を離した。


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