先生に囚われて
「ん?なに?」

身体が離れたので自由になった手を早速ポケットに入れて、中のものを確かめようとすると、

「待て。家に入ってから見ろ」

苦笑した顔のりぃ君にその動きを止められた。


「どうして?嫌なものなの?」

「あ〜、まあ、お前にとってはいいもんだ」


珍しく煮え切らない物言いで視線逸らすので、その態度に不安を覚える。

離れてしまった優しい体温が恋しくなる。



「私にとっては?……じゃあ、りぃ君にとっては違うの?」

りぃ君の言い方は、そういうことに聞こえる。


すると私のそんな返しを予想していたのか、りぃ君は視線をゆっくりと私に戻しながら困ったような笑みを浮かべた。


「嫌なとこ突いてくんな、お前は」



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