【短】糸のないマリオネット
「やったぁ!!」
何度も何度も倒れたけれど、マリオネットは、初めて自分の足でそこに立つことができた。
糸で吊るされ、手足を操られるのではなく、足の裏に地面の感触がしっかりと伝わっていた。
「さぁ、いこう!!」
クゥはマリオネットの手を引いて、みんなのところへと駆けて行った。
マリオネットは、人形たちに教えられながら、慣れない手つきで一生懸命踊った。
月明かりに照らされた部屋がマリオネットには眩しくて、初めてのことに胸がドキドキして、そして、とても楽しかった。
どれくらいの時間が過ぎたのかわからないほど、夢中で歌い、踊り、やがて、外が明るくなってきた。
人形たちの時間は、月が輝く夜の間だけ。
またね、と言葉を交わしながら、人形たちはもとの場所へと戻り、やがて、動かなくなった。