【短】『鏡』
「外国での生活はどうだった? 楽しかったか?」
「楽しかったよ。新しいことばかりで、勉強になった」
「それは良かった」
部屋に行く途中、研究室の前を通る。
開け放たれたドアの向こうから、熱い空気が流れてくる。
「・・・父さん、痩せたね。無理しないでよ?」
「無理なんかしてないよ。もう少しで『核』が完成しそうなんだ。今、研究がとても楽しい」
そう言って笑う父さんは楽しそうで、少しだけ、悲しそうだった。
『核』の発明は、母さんとの『夢』の第一歩だったから。
その完成を待たずに、母さんは死んでしまったから。
心配そうな表情をしているらしい僕の頭を撫でて、父さんは言った。
「和也と父さんと、母さんの『夢』だもんな」
そう。
そのために、僕は留学して科学を学んだ。
『死』の危険性のある父さんを置いてまで。
「ヲ食事ノ用意ガデキマシタ」
「ほら、アスカが呼んでいる。食べておいで」
「・・・うん」
荷物を父さんに任せて、僕はアスカの呼ぶ方へ行った。
「楽しかったよ。新しいことばかりで、勉強になった」
「それは良かった」
部屋に行く途中、研究室の前を通る。
開け放たれたドアの向こうから、熱い空気が流れてくる。
「・・・父さん、痩せたね。無理しないでよ?」
「無理なんかしてないよ。もう少しで『核』が完成しそうなんだ。今、研究がとても楽しい」
そう言って笑う父さんは楽しそうで、少しだけ、悲しそうだった。
『核』の発明は、母さんとの『夢』の第一歩だったから。
その完成を待たずに、母さんは死んでしまったから。
心配そうな表情をしているらしい僕の頭を撫でて、父さんは言った。
「和也と父さんと、母さんの『夢』だもんな」
そう。
そのために、僕は留学して科学を学んだ。
『死』の危険性のある父さんを置いてまで。
「ヲ食事ノ用意ガデキマシタ」
「ほら、アスカが呼んでいる。食べておいで」
「・・・うん」
荷物を父さんに任せて、僕はアスカの呼ぶ方へ行った。