女子高生名探偵の事件簿
「ヒカル。起きなさい。今日から天体観測に行くんでしょ。」
ヒカルの母の声だ。『やっぱりリサの言うとおり。三十分も余裕を持ってきてよかったわ。』とユミは思った。ヒカルと待ち合わせをして時間通りに出発できたことは今まで一度もなかった。『昨日の夜。リサと打ち合わせをしておいてよかった。』ユミは心の中で小さくつぶやいた。
ヒカルが玄関から飛び出してきた。大慌てで準備したせいかカーディガンの裏表が逆だった。
「ヒカルちゃん。おはよう。」
何度も時計を見てため息をつくユミの隣で、リサがいつものような笑顔を見せた。
「ヤバイ。リサ。ヒカル。電車に間に合わない。走るぞ・・・。」
三人の大荷物を背負った少女たちは一気に駆け出した。
目的地の小僧谷温泉に行くには電車を三本乗り継ぐという非常に手間のかかる移動手段しかなかった。ただ、退屈が予想された電車内でも、何の身だしなみの準備をしていないヒカルのために、髪を整えたり、日程の確認などをしていたりするとあっという間に過ぎてしまった。
「ユミ。リサ。雪だよ。ユキ・・・。」
ヒカルが窓の外をのぞいてはしゃいだ。
「もう、こんなに遠くまで来たんだね。」
リサが不安そうに言った。
列車内には三人以外乗客はいなかった。シーンと静まり返った列車内には旧式の暖房がうなる音だけが響いた。窓の外を見ても、大粒の雪が降るだけで人の影も見えなかった。ふだん、都会に住む三人は、人のいない空間というものを想像できなかった。だからこそ、三人にはこの情景がよりいっそう気味悪く感じられた。
「次の駅だからね。準備して・・・。」
沈黙を破ったのはユミの声だった。力強いこの声はヒカルや特に怖がり家のリサにとって頼もしかった。
車掌が三人の切符にはさみを入れた。三人にとって、自動改札口のない駅というものは考えられなかったのですごく驚いた。
「ユミちゃん。さっき見たいな確認のしかたじゃただ乗りする人がでてしまうわ。」
リサが心配そうに言った。
「車両も1両だし、乗客もほとんどいなかったから・・・。なんとか管理できるんじゃないかなぁ。」
ユミが言った。
ヒカルの母の声だ。『やっぱりリサの言うとおり。三十分も余裕を持ってきてよかったわ。』とユミは思った。ヒカルと待ち合わせをして時間通りに出発できたことは今まで一度もなかった。『昨日の夜。リサと打ち合わせをしておいてよかった。』ユミは心の中で小さくつぶやいた。
ヒカルが玄関から飛び出してきた。大慌てで準備したせいかカーディガンの裏表が逆だった。
「ヒカルちゃん。おはよう。」
何度も時計を見てため息をつくユミの隣で、リサがいつものような笑顔を見せた。
「ヤバイ。リサ。ヒカル。電車に間に合わない。走るぞ・・・。」
三人の大荷物を背負った少女たちは一気に駆け出した。
目的地の小僧谷温泉に行くには電車を三本乗り継ぐという非常に手間のかかる移動手段しかなかった。ただ、退屈が予想された電車内でも、何の身だしなみの準備をしていないヒカルのために、髪を整えたり、日程の確認などをしていたりするとあっという間に過ぎてしまった。
「ユミ。リサ。雪だよ。ユキ・・・。」
ヒカルが窓の外をのぞいてはしゃいだ。
「もう、こんなに遠くまで来たんだね。」
リサが不安そうに言った。
列車内には三人以外乗客はいなかった。シーンと静まり返った列車内には旧式の暖房がうなる音だけが響いた。窓の外を見ても、大粒の雪が降るだけで人の影も見えなかった。ふだん、都会に住む三人は、人のいない空間というものを想像できなかった。だからこそ、三人にはこの情景がよりいっそう気味悪く感じられた。
「次の駅だからね。準備して・・・。」
沈黙を破ったのはユミの声だった。力強いこの声はヒカルや特に怖がり家のリサにとって頼もしかった。
車掌が三人の切符にはさみを入れた。三人にとって、自動改札口のない駅というものは考えられなかったのですごく驚いた。
「ユミちゃん。さっき見たいな確認のしかたじゃただ乗りする人がでてしまうわ。」
リサが心配そうに言った。
「車両も1両だし、乗客もほとんどいなかったから・・・。なんとか管理できるんじゃないかなぁ。」
ユミが言った。