好きだから。 *短編*
好きだから。
「ハル!聞いて!」
「何?またのろけ話?」
秋も始まったばかりの10月。
大学2年の私、高月ハルは、空き時間にほとんど学生が来ない日当たりの良い資料室でマンガを読んでいた。
そんな私の読書タイムを邪魔してきたのは同じサークルの片岡宏樹。
いつもわざわざこの部屋に来て、私に彼女とののろけ話を聞かせてくる迷惑な奴。
…他の人ののろけ話ならいくらでも聞くのに。
どうして宏樹の話を聞かなきゃならないんだ。
…私はあんたが好きだというのに。