突然の恋
昼間の出来事が一変に蘇る

案内された席の目の前の机に出したままだったことを思い出した

「すぐ追い掛けたんだけど、下に降りたときには麻衣さんの姿どこにもなくって。仕事中だったし追いかけるの諦めたんだ。携帯無いこと今気付いたんだね」

店を出てから何時間も経つのにも関わらず、携帯が無いことに気づかなかった自分が恥ずかしくなり下を向いた

「と、友達と会ってて携帯使うこともなかったし」

言い訳っぽくて更にはずかしくなる

「そっか。友達と一緒だったんだ。よかったよ。携帯探し回ってたらどうしようって心配だったから。連絡しようにも連絡できないしね」


その言葉に顔を上げると、少し安心した笑顔の青年ヒロの表情を見て胸が痛んだ


「ごめんなさい。心配かけた上に携帯まで届けてもらって」

「麻衣さんは何も悪くないよ。俺の方こそ昼間は怒らせちゃってごめん」

そう言うと青年ヒロは頭を下げた
「その事はもういいの。私の方こそ大人げなくムキになって、あんなふうに帰ってしまってごめんなさい」

「なんか謝ってばっかだね。俺達。ぢゃぁさ、お互い様ってことにしません?」

「うん、そうだね」

麻衣自身昼間のことはなかっ事にしたかった
だから青年ヒロの言葉にホッとする

それにしてもさっきから年下に引っ張られてる気がするのは私だけ?
最初からタメ口だったし
しいていえば、さん付けくらいか?

そんなことを考えていたら目の前に携帯が差し出されていた



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