突然の恋
「今日も毛先そろえる感じでいいですか?」

「いえ、今日はカットして下さい」





一瞬驚いた顔をした店長

でもすぐいつもの笑顔に戻った



驚くのも無理もない

ここ3年間はずっと髪を延ばしてきた

ロングのストレートが好きな健太の為に―――




「では、先にシャンプーしますね」

シンプー台に座り天井を眺めながら
この3年間の健太との思い出を振り返っていた


この髪にも“お疲れ様”って言わないと
そんな事を考えていたらシャンプーが終わって席へと案内される
首にタオルを巻かれ、濡れた髪をほぐしながら店長が鏡越しにこちらを見る

「では、今からカットしていきますね。よろしいですか?」



麻衣は小さく深呼吸をすると
「はい」と短くでもはっきりと答えた


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