ほんとうに君が好きだった



9月、2学期が始まる。

始業式では、夏休みの間、ずっとずっと会いたかった君を目で探した。
ひかるのクラス、4組がいるあたりを。

ほら、すぐ見つかる。
大好きな人だから。
片思いしてた時、毎日廊下にいる彼を探していたから。

懐かしいひかるの姿。
また少し背が高くなった気がした。
こんがりと焼けた肌は、夏休み、真夏の暑い日差しの中で必死にサッカーをしていたんだな、と思う。
少し体も引き締まったような気がする。
元々かっこよかったけど、また更に磨きがかかった気がする。
やっぱりひかるはかっこいいよ。



「ひかるぅ…」


ざわざわした体育館の始業式。
一人ぽつんと呟いてみた。




やっぱり私はひかるが好き。
大好きなんだ。
大好きで大好きで仕方がないんだ。



夏休みだって、本当は会いたくて会いたくて、仕方がなかったんだ。
だけどメールしたら会いたくなる。
でもきっとひかるはサッカーで忙しくて、迷惑をかけちゃうから。だから私はひかると連絡ができなかったんだ。

今更一人で解釈してみる。



よし、今日はひかるに話かけてみようかな。
そう思った。










長っ怠い始業式が終わって、教室に戻る。


みんなは夏休みの思い出を語りあっている。
夏休み特になにもしていない私は、一人机に伏せて寝ているふりをしていた。


その時、シュンが話しかけてきた。
シュンとは同じクラスなのに、まだ一度も話した事がなかった。


「お前らって自然消滅したの?」


「は?」

お前ら、って、私とひかる?
自然消滅って、私達別れたの?これから私はひかるに久々に話しかけに行くというのに、素直になるはずなのに、…もう別れてしまっていたの?
振ることも振られることもなく、あっさり終わったの?

意味わかんないっ!!

馬鹿みたいっ!!

もんなんなのっ!?

「っっ…もぅ…っ知らないっ!!」

その場から逃げて、私は教室を出た。
走り出して、気がついたら大量の涙が溢れ出していた。


ひかるを初めて見た下駄箱で一人、泣いていた。




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