また、恋する

「お姉ちゃん、バッグありがと」


感傷に浸る暇なく洗面所の扉が開いて、やっぱりテンションの高い結衣の声が響く。


「ん」


鏡越しにコクン、と頷けば、一度背を向けた結衣はまた振り返って、ニヘラっと締まらない笑顔を向けた。


「昨夜?の彼は相当独占欲強いんだね」


お姉ちゃんってば、やっるぅー!なんて語尾にハートマークを散らばせた声、怪訝に眉を寄せれば、結衣は自分の首をチョンチョンと指先で軽くなぞって、チュッとふざけた投げキッスをした。


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