また、恋する
以心伝心

見慣れた街について、薄暗くなった濃紺の空に季節の過ぎゆくのを感じる。感傷的になっているのかもしれない。色んな事があったから。

街に流れる陽気なクリスマスソング。チカチカと輝く電飾に、今日がイヴだという事も忘れていた。
尤も、一緒に過ごす相手なんていないけれど。


タクシーを拾って家まで向かう。

窓から見える景色は、冬のイルミネーションに外見を変えて華やかに、だけどこの凍りつく温度にどこか哀愁を漂わせて、煌々と光った。


────……


家の手前でタクシーを降りて、足元から視線を上げた時、



一瞬、



息をするのさえ、忘れてしまった。



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