また、恋する
「駄目だよ、そんなの」
あなたの指にはいまだにリングが輝き続けるのに。
「何故?」
分からない、と無垢な瞳を向ける彼に苛立つ。
「あなたが大切なのはあたしじゃないから」
きっぱりと、今度は自分の声だと言い切れるように言葉を向ける。
スグルさんは、苦しそうに表情を殺した。
「一番が良いの、一番でありたいの。あたしはワガママで独占欲が強くて、そのくせ、愛されてると実感出来る強い言葉が欲しい、そんな自分勝手な女なの」
そう、だから《あの人》へも試すように『別れたい』と言葉を投げつけた。否定の言葉が聞きたくて、強く強く抱きしめられたくて。
ただそれだけで、愛する人を失った。
そんなエゴイストが、一番に成り得ないようなスグルさんに向かい合える筈がない。