また、恋する
抱きしめたい、と体中が悲鳴を上げても必死でそれを押さえ込む。
スグルさんを見ないように、あたしはまた彼から目を反らした。
力が抜けた腕は解くのは容易くて、自分で離しておきながら離れた温度に辛くて苦しくなる。なりふり構わず、彼に抱きつけば、あたしは素直になれるのか。
だけど、いつだって、棘は抜けなくて、歩み寄れるはずがない。あたしだって、忘れた元夫にやっぱりどこか、意識の向こうで焦がれている。責められるはずなんてないのに。
寂しい、と体中が、軋んだ。
名前を呼んで、と引き留められたい矛盾したあたしがいて、
その瞳に映っていたい、と突き放しておいてすがりつきたくなる。
勝手過ぎる駄目な女だ、最強に。