また、恋する

瞬きすらせず、淡い栗色の瞳から零れる宝石のような涙。

現実離れした綺麗な男の人から、ポロポロととめどなく落ちるそれは、息を呑むほど美しくて、残酷な程胸をえぐる。


「なんで、」


違う人を愛しながら、あたしを想って涙を流すの?


ズルイ、ずるい人。



手を伸ばさないくせに、そうやって優しい程不器用な愛で引き止める。



あたしの負けだ。



彼が、



死ぬ程愛しい─────



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