また、恋する




「……馬鹿」



あたしも、あなたも、救いようがないくらい。


「…うん」


コクン、と頷いて笑ったその表情に確かに見覚えがあって、全身が震えた。


粟立つ体に波のような意識が押し上げる。


もう、こんなのって、



全身を走る何かが、悲鳴のように胸を軋ませて、


記憶のピースが、



────鮮明に、埋まっていく。




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