最強最愛彼氏。
次の日。
あいにくの雨で、一日は始まった。
学校に行こうと、寮から出ると
門の前に人だかりが出来ていた。
「あのー…。なにかあったんですか?」
近くにいた女の子に尋ねると、彼女は興奮気味に語り出した。
「もうすぐ、緋邑(ヒムラ)さんが通るのよ!」
「緋邑さん?」
誰だろう、と考える間も無く
女の子達の集団が私の身体を押し始めた。
「えっ!?ち、ちょっと、待っ…」
圧力に耐えきれずにバランスを崩してしまった私の腕を、誰かが後ろから支えた。
「大丈夫〜?朝から元気だね、皆」
頭上から、能天気な声が降ってきた。