最強最愛彼氏。
入学式の時にも歩いた
遊歩道に咲く桜たちは
雨に濡れて幻想的な雰囲気を醸し出している。
私は淡いピンク色の花びらを見ながら
校門へと向かう。
すると
不意に後ろから
タイヤの水を切る音が聞こえてきた。
(車が来たのかな…)
私はそう思い
車道側から歩道側へと移動した。
しかし私が移動したのとほぼ同時に
真横を黒塗りの車が横切る。
それと同時に
水しぶきが舞い上がった。
「きゃっ!」
思わず身体をのけ反らせた瞬間に
傘を落としてしまう。
「どんくせーな、アンタ」
すると
事の元凶である黒塗りの車が停止して、後部座席から
一人の少年が顔を出した。